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椎間板ヘルニアと症状が似ている脊髄梗塞について

 昨年、ある芸能人の方が「脊髄梗塞」という病気を発症しニュースになりました。 珍しい病気のため、初めて耳にした方も多いと思いますが、犬や猫でも起こる病気です。 ( 治療方法や予後などについては人と全く同じではありません) 犬や猫の場合、その主な原因が「線維軟骨塞栓症(=FCE)によるものと言われています。今回は「線維軟骨塞栓症」(以下、FCEと記載します)が原因によって起こる脊髄梗塞についてお話ししたいと思います。 脊髄梗塞とは? 脊髄の血管障害による病気です。何らかの原因で脊髄の血管が詰まり、詰まった場所に関連する神経が支配する部位に障害が起こります。原因ははっきりしていません。 急に発症することや症状が椎間板ヘルニアと似ているため、見分けがつきにくいです。 (以前、私が診たワンちゃんは飼い主さんがボールを遠くに投げた後、走って取りに行き、口にくわえて戻ってくると既に片方の後足を引きずっていたという状況でした) そしてどの犬種でも起こる可能性があり、猫でも起こります。 <症状> ・激しい運動中やお散歩中、お散歩後などに起こり、急に発症します。 ・症状は血管が詰まった場所によりますが、よく見られるのは「片足を引きずる」、「どちらか側の前足と後足を引きずる」、「前足、後足のどれかの反応が鈍くなる」などの症状です。 ・痛みは症状が出た時やその直後数時間はあるようですが、病院に来る頃にはないことが多いです。 <診断> ・問診、神経学的検査を行うことで疑わしい部位を特定し、MRI検査をすることが望ましいです。 ・MRI検査により椎間板ヘルニアやその他の脊髄の病気を除外していくこと等でFCEの可能性を見極めていきます。 <治療> ・治療法はないため、早めのリハビリ開始が有効とされています。 <予後について> ・24時間以内は症状が進行することもありますが、その後は改善傾向に向かうことが多いです。但し、血管の詰まった場所や症状の重さ、症状が続いた期間によっては改善が難しい場合もあります。 ・症状の改善には数日の場合もあれば数ヶ月かかる場合もあり、機能が元通りに回復しない場合もあります。 ちなみにその芸能人の方はリハビリをかなり頑張られ、まだ完全ではないようですが、お仕事に復帰されています。やはり改善のためにはリハビリが一番だと実感しました。 神経科の診察について疑問な点...

夏休みに特発性てんかんを持ったワンちゃんとお出かけする際の注意点について

  8 月に入り、夏休みシーズンが本格的な時期になりました。昨年、特発性てんかん発作を持ったワンちゃんとお出かけする時の注意点について書きましたが、100名以上の飼い主さんにご覧頂いたようです。こちらの内容については今年も変わることはなく、お出かけ前に是非とも目を通して頂き、楽しいお休みを満喫して頂きたいと思いましたので、再掲載したいと思います。 特発性てんかん発作とは「 脳に腫瘍、炎症、水頭症、脳血管障害などの病変がない」タイプのてんかん発作です。お薬でコントロールができている場合は、普通のワンちゃんとほぼ同じ生活が可能です。ところが、普段は発作の頻度が数ヶ月に 1 回とか、 1 年に 1 回あるかないかレベルのワンちゃんでもたまたま旅行先で発作が出てしまう場合があり、これを予想することは困難です。今回は夏休みに特発性てんかんを持ったワンちゃんと遊びに行く時の注意点を挙げてみました。   1 .    旅行中でも必ずいつものお薬を持参し、いつも通り服用しましょう! 最近は発作もなく元気なので1、 2 日くらい薬を飲ませなくても大丈夫!と考えるかもしれません。しかし、どの薬にも「半減期」というものがあります。「半減期」というのは血液中に入ったお薬が代謝や排泄などによって濃度が半分になるまでにかかる時間のことです。例えば、「この薬は半減期が短いものです」と言われたらお薬が体の中で早く代謝・排泄されてしまう=お薬の効き目が短いことを意味します。お薬も 1 日 2 回のものや 1 回のものもありますが、これらは半減期のことも考慮されています。よって、今まではきちんとお薬を飲んでいたことで、体の中の成分は常に一定量を維持し、発作をコントロールしていたのに、 1 日飲まなかったことでその状態が崩れ、お薬の濃度が低くなり、発作を起こしてしまうことがあります。   2 .    海や川などには入らないようにしましょう!また、目の届かないエリアで自由に散歩させるのはやめましょう! 海や河原でのキャンプ、水遊びが大好きなワンちゃんは多いですよね。でも、浅いところだから、と思ってうっかり目を離したら深いところまで進んでいたりすることがあります。そんな場所でてんかん発作が起こったり、浅いところでも発作が起き...

特発性てんかんを持ったワンちゃんのための療法食について

  先日  飼い主さんから「特発性てんかんを持ったワンちゃん用の療法食があるんですか?」というご質問がありましたので、そのことについてお話ししたいと思います。 「ニューロケア(ネスレ日本販売、ピュリナシリーズ)」というドライフードです。 こちらのフードは脳の健康維持に役立つとされている中鎖脂肪酸(発作を抑制する作用があり、脳のエネルギー源としても利用されると言われています)を含有したフードです。その他、認知機能の健康をサポートするアルギニン、 EPA +DHA 、抗酸化成分、ビタミン B 群を配合しています。犬の認知症は診断がつきにくいですが、 12 歳以上になると 6 割以上のワンちゃんに大なり小なりの認知機能低下が認められるという報告があります。よって、ニューロケアは高齢や既に認知機能が低下してきているワンちゃんにも向いているフードということになります。    では、これを食べていれば発作のお薬は飲まなくても大丈夫になるのか?という点が気になるところだと思いますが、ここからは私見をお話ししたいと思います。 まずお薬は必須だと考えます。てんかんのワンちゃんを多く診察していますが、発作の頻度、大きさ、症状の様子は多種多様であり、同じお薬の量や組み合わせをしても効果についてはかなり個人差があります。お薬を飲んでいればほとんど発作が出なくなる子もいれば、頻度が半分に減った、発作の大きさが小さくなった、全然変わらない、など様々です。それほど症状に幅がある状況でフードだけでコントロールするのは難しいと考えています。とは言っても、このフードが無効と言っているわけではありません。実際、お薬を飲んでいても発作がゼロになることはあまり多くないため、このフードを併用することでお薬だけでは抑えきれない発作の頻度、程度を減らすサポートに役立つものと考えます。よって、「お薬を飲んでいるけれどもう少し発作の回数が減らないかなぁ?』と思われている飼い主さんにお勧めしたいと思います。 認知機能に対しては目に見えた改善が見られるかというと、そこは厳しいと考えます。発作のように見た目ではっきりわかるものではないため、使用効果は感じにくいと思います。よって進行スピードを遅くする効果を期待したい飼い主さんにお勧めしたいと思います。 <まとめ>(私見) ・特発性て...

脳神経疾患と気圧の変化について

6 月に入りました。暑かったり涼しかったりや、雨続きの日が多くなりいよいよ梅雨や台風シーズンが近くなってきました。この時期になるとてんかんを持っているワンちゃんやネコちゃんの発作頻度が増える、何となく元気がなくなる、ぼーっとしている時があるなどの症状が出ることがあります。これらは気圧が関係していると考えられています。梅雨や台風の時期は気圧の変化が大きく、血管が膨張したり収縮することで脳にも影響が出るためです。脳炎や水頭症の治療中の子でも同様です。人でもこの時期の気圧変化による頭痛や肩こり、倦怠感でお悩みの方も多いと思います。   気圧の変化を避けることはできませんが、最近ではネットやアプリによって気圧の情報を得ることができますのでこの時期は特に情報収集をし、注意が必要と思われた日は外出を控えたり激しい運動を避けるなど体へのストレスをかけないようにしましょう。 また「気象病」はてんかんなど脳に持病のあるワンちゃん、ネコちゃんだけに起こるのではなく、持病のない子にも体調変化は起こり得ます。ただし、すべてのワンちゃん、ネコちゃんがこの時期の体調不良だからといっても気象病によるものではないケースは多くあるため、気になる場合はホームドクターに診察が必要かどうかを相談してみると良いでしょう。   気になることがありましたら、お気軽に当院にご相談下さい。   たまきペットクリニック 神経科担当 獣医師 大内 詠子            

てんかんによる発作治療開始のタイミングについて

  今回はてんかんによる発作の治療タイミングについてお話ししたいと思います。 ワンちゃん、ネコちゃんの発作頻度や程度はまちまちで、毎日の子もいれば半年に 1 回や 1 年に 1 回という子もいますし、頻度は少ないが 1 回の発作が重度、という場合もあります。よくご相談を受けるのは 1 ~ 2 ヶ月に 1 回位発作があるのですが、薬は必要ですか?という内容です。治療の開始時期についてはまず診察を受けて頂き、詳しい問診や動画などを拝見してからの判断とはなりますが、投薬をご提案する際には下記の基準に基づいて判断しています。   1 、てんかん発作の頻度が 6 ヶ月間で 2 回以上起こった場合 2 、群発性発作 ( ※ 1) があった場合 3 、てんかん重積(※ 2 )があった場合 4 、発作が終わっても様子がおかしいなど余韻の継続時間が長い 5 、発作の間隔が短くなってきている 6 、発作の重症度が増している 7 、頭の中に発作の原因病変がある場合      など   (※ 1 )群発性発作: 24 時間以内に別々の発作が 2 回以上起こる状態。 例:朝に 2 回発作が起こり、とりあえず治ったが、夜になったらまた発作が起こった、のような場合 (※ 2 )重積発作:発作は 1 回の発作が 5 分以上続いていた、または最初の発作が治る前に次の発作が起こり、それが継続した場合   以上の内容にあてはまるようでしたら治療開始のタイミングかもしれません。    当院の神経科ではカウンセリング(飼い主様のみご来院のご相談)も承っております。 気になることがありましたらお気軽にご相談下さい。   たまきペットクリニック 神経科担当 獣医師 大内 詠子

てんかんカウンセリング開始のお知らせ

  てんかんカウンセリングの開始のお知らせ     4 月よりてんかんの発作治療に関するカウンセリングを始めます。  てんかんの治療は一生涯発作ゼロを目指したいところですが、残念ながら必ずしもそうはいかないことが多いのが現状です。では、どこを目指したら良いのでしょうか? これはかなり個人差がありますが、発作は回数が少なければ少ないほど、時間が短ければ短い ほど、大きさが小さければ小さいほど脳に対するダメージが少ないです。 動物に使用する発作止め薬は人間に比べ種類が少ないですが、使い方によって発作ゼロは難しくても脳や身体に対するダメージを今より少なくする状態を目指せる可能性はあります。 カウンセリングでは飼い主様のお話や今までの経緯をお伺いし、治療についてお困りなことや疑問点、ご提案などについてお話しできればと考えています。   <対象> ( ワンちゃん・ネコちゃんのみ ) ・てんかん発作を持っているが、治療をすべきかどうか悩んでいる飼い主様 ・現在、てんかん発作の治療を行っているが、発作の頻度が変わらない、発作のコントロール ができているのか?というお悩みを持たれている飼い主様   <詳細> ・カウンセリング日:毎月第 1 、 3 水曜日(完全予約制) ・費用(カウンセリングのみ): 2,000 円( 60 分まで)(別途消費税) ・飼い主様のみご来院下さい(診察をご希望の場合は、動物をお連れ下さい)  (※診察の場合は別途費用がかかります) ・今までに行った血液検査や画像(MRIなど)検査結果、動画、服用している(していた)お薬が ありましたら必ずご持参下さい。 (※カウンセリングのみの場合、お薬の処方はありません) カウンセリング(飼い主様のみ)のご予約はお電話でのみ承っております。 診察(動物同伴)につきましてはお電話だけでなく、ネット予約も可能です。  TEL:047-321-6736    たまきペットクリニック 神経科担当  獣医師 大内 詠子

3月26日は動物のてんかんの啓発を行う日、「アニマルパープルデーです」

  毎年 3 月 26 日は動物のてんかんの啓発を行う日、「アニマルパープルデー」です。 皆さん、ご存知でしたか?  今年も3月30日(日)に会場参加、 WEB ライブ視聴において動物のてんかんに関する講演やてんかんに精通した獣医師の先生方をパネリストにお迎えし、皆さんのご質問にお答えする 特別講座が開催されます。(参加費無料、事前申込必要) ワンちゃんや ネコちゃんを始めとする動物にも人間と同じように「てんかん」という病気があります。 当院の神経科にもてんかんを持つワンちゃん、ネコちゃんが来院されますが、決して珍しい病気ではないと感じています。大事な家族であるワンちゃん、ネコちゃんと暮らすためにてんかんの正しい知識を身につけておくこ とはとても大事なことです。   てんかんを持つワンちゃん、ネコちゃんの飼い主さんはもちろん、そうでない飼い主さん方にも動物にてんかんが あるということを広く知って頂ける良い機会です。 是非、ご参加をお勧めいたします!詳細は下記をご覧ください。 https://animal-purpleday.com/ たまきペットクリニック 神経科担当 獣医師 大内 詠子