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  てんかんの分類について(その 2 )   前回はてんかんを「病気の原因」によって分類しましたが、今回は「発作の症状(発作型)」による分類についてお話していきます。 「てんかん発作」は大脳皮質の神経細胞やそのネットワークに対し、何らかの原因で過剰な電気的興奮が発生することによって起こります。 てんかんを「発作の症状」という観点で分類すると「焦点発作」と「全般発作」に分かれます。   1. 焦点発作  脳の局所から起こる発作であり、その発生部位を「発作焦点」と言います 。症状は発作焦点部位が担当している機能に影響を与えます。人では発作中に意識がある、あるいは発作中の記憶がある場合と、それらがない場合がありますが、ワンちゃん、ネコちゃんでは意識や記憶の有無を評価することができません。焦点発作の例としては、一肢を引き上げてしまうもの、同じ姿勢のまま動けなくなってしまうもの(運動性発作)、ヨダレを垂らしたり、瞳孔散大や縮瞳などが起こるもの(自律神経性発作)、何もないのに何かを目で追う、凝視しているなどの異常な行動がみられるもの(行動性発作)があります。なお、行動性発作は獣医学における分類です。人では行動を起こす理由となる異常な感覚(幻聴や幻覚など)を発作時や発作後に本人から聞けますので「感覚性発作」という分類になっています。 その他、始まりは一肢の引き上げだったのに次第に後肢や反対側にも広がり、ついには脳全体に波及していき全般発作へと移行することもあります(焦点発作からの全般発作への進展)。 焦点発作からの全般発作への進展は焦点発作に分類されます。   2. 全般発作 脳の全ての領域で発作が始まるもので、おそらく皆さんがよく知っている発作は、けいれん性全般発作の中の「強直間代性発作」という最初に全身の筋肉が突っ張るような症状(強直性けいれん)から始まり、その後手足をバタバタするような動き(間代性けいれん)が起こり、数分以内に終わるものではないかと思います。その他に、「強直性発作」(強直性のみ)、「間代性発作(間代性のみ)」、体の一部、または全身の筋肉がビクンとする「ミオクロニー発作」が含まれます。また、けいれんを伴わない「非けいれん性全般発作」もあり、その中には一瞬だけ動作が止まる「欠伸...

てんかんの分類について(その1)

 一見少ないように思える「てんかん発作」ですが、意外と多い病気です。 今回は「てんかん発作」についてちょっと詳しくお話していきたいと思います。 てんかんを「病気の原因」によるもので分類すると「特発性てんかん」、「構造性てんかん」に分かれます。   1. 特発性てんかん   脳に腫瘍、炎症、水頭症、脳血管障害などの病変がないため、脳の画像診断検査( MRI 、 CT 、レントゲン)をしても異常は認められません。特発性てんかんは、さらに遺伝性、おそらく遺伝性、原因不明の 3 つに分けられます。初めての発作が起こった年齢が 1 歳から 5 歳位までのことが多いです。   2. 構造性てんかん 脳に発作の原因となる腫瘍、炎症、水頭症、脳血管障害などの病変が認められるときに発作が繰り返し起こります。こちらは MRI などの画像検査でわかります。発症年齢は脳腫瘍であれば 7 歳以上、水頭症であれば 1 歳未満で起こることが多いです。  次に、治療についてお話しします。画像診断検査などで脳炎や脳腫瘍などの活動性病変が見つかった場合(構造性てんかん)はてんかん発作のコントロールだけでなく、その病気に対する治療もする必要があります。病気が進行性の場合はてんかん発作のコントロールが難しくなることも多く、発作止め薬の増量や別のお薬を追加する必要が出てきます。また、特発性てんかんの場合は発作をコントロールすることだけに専念できます。 よって両者の鑑別は治療方針が立てやすくなることや今後起こりうる症状の予測ができるため、とても重要です。ただ、ワンちゃん、ネコちゃんが M R I や C T 検査などをする場合、全身麻酔をかけなければならないことや検査費用が高額であるため、検査をためらわれる飼い主さんも少なくありません。また、高齢であったり心臓や腎臓などに持病を持っているワンちゃん、ネコちゃんでは全身麻酔をかけることが難しい場合があります。その場合は初めて発作が起こった年齢やてんかん発作以外の症状(運動異常、旋回運動、行動異常など)の有無、神経学的検査で異常がないかどうかを確認し、特発性てんかんが疑わしい場合は飼い主さんとご相談の上、特発性てんかんと仮診断し、治療を始める場合もあります。また、脳内に病変の存在が強く疑われる場合は脳の...

神経科に来院するワンちゃん、ネコちゃんはどんな症状で来るの?

  「動物の神経科」と聞いてもどんな時に行くべきところなのか今一つピンとこない飼い主さんも多いと思います。今回は神経科に来院するワンちゃん、ネコちゃんはどんな症状で来院されているのかについてお話ししたいと思います。人の医療においても「神経科」というのはそれほど身近な診療科ではないと思います。動物ならなおさら…、と思いがちですが意外にそうではありません。皆さんのワンちゃん、ネコちゃんでこのような症状を見たことはありませんか? ・突然、立てなくなった、歩けなくなった。または一時的にそうなったけれど数日で良くなった。 ・最近、つまずくことが多くなった、歩き方がおかしい。 ・抱っこをするとキャンと鳴く、体を触ると痛がる、過敏に反応することがある。 ・今まで登れていたソファーやキャットタワーなどに登らなくなった、または登れなくなった。 ・首が傾いている。 ・最近、ぐるぐる回る(旋回)ようになった。 ・目が揺らいでいる ・壁や物にぶつかるようになった。 ・突然、倒れて手足をバタバタしている、または以前にそうなったことがある。 ・体の一部がぴくぴくすることがある。 ・体全体が震える。 ・ごはんやお水がうまく食べたり飲めたりができなくなっている気がする。 ・性格や行動が変わってきた。 ・ぼんやりしていることや寝ていることが多くなった気がする。…など これらはいずれも神経疾患の可能性があります。 もちろん神経疾患ではなく、骨折、脱臼などの整形外科疾患や、心臓、血管に問題がある循環器疾患、メンタルの問題による行動異常などが原因である場合もあります。しかし、動物は言葉が話せませんので、飼い主さんや獣医師が動物の異常を察知し、診察や検査をすることで診断・治療を進めていく必要があります。たまきペットクリニック神経科では神経疾患の診療はもちろんですが、そうではなかった場合でもその状況に適した診療科を受診できるお手伝いをさせて頂きます。「うちの子は神経科を受診した方が良いの?」と思われましたら、お気軽にご相談下さい。 たまきペットクリニック 神経科担当獣医師 大内 詠子  

特発性てんかん発作を持っているワンちゃんとのお出かけについて 

    夏休みも中盤に入りました。まだまだ暑いですが、これからワンちゃんと一緒にレジャーを楽しまれる方も多いと思います。今回は特発性てんかん発作を持っているワンちゃんとお出かけする時に気をつけて頂きたいことについてお話ししたいと思います。特発性てんかん発作とは「 脳に腫瘍、炎症、水頭症、脳血管障害などの病変がない」タイプのてんかん発作です。お薬でコントロールができている場合は、普通のワンちゃんとほぼ同じ生活が可能です。ところが、普段は発作の頻度が数ヶ月に 1 回とか、 1 年に 1 回あるかないかレベルのワンちゃんでもたまたま旅行先で発作が出てしまう場合があり、これを予想することは困難です。今回は夏休みにてんかん発作を持ったワンちゃんと遊びに行く時の注意点を挙げてみました。   1.   旅行中でも必ずいつものお薬を持参し、いつも通り服用しましょう! 最近は発作もなく元気なので1、 2 日くらい薬を飲ませなくても大丈夫!と考えるかもしれません。しかし、どの薬にも「半減期」というものがあります。「半減期」というのは血液中に入ったお薬が代謝や排泄などによって濃度が半分になるまでにかかる時間のことです。例えば、「この薬は半減期が短いものです」と言われたらお薬が体の中で早く代謝・排泄されてしまう=お薬の効き目が短いことを意味します。お薬も 1 日 2 回のものや 1 回のものもありますが、これらは半減期のことも考慮されています。よって、今まではきちんとお薬を飲んでいたことで、体の中の成分は常に一定量を維持し、発作をコントロールしていたのに、 1 日飲まなかったことでその状態が崩れ、お薬の濃度が低くなり、発作を起こしてしまうことがあります。   2.   海や川などには入らないようにしましょう! また、目の届かないエリアで自由に散歩 させ るのはやめましょう! 海や河原でのキャンプ、水遊びが大好きなワンちゃんは多いですよね。でも、浅いところだから、と思ってうっかり目を離したら深いところまで進んでいたりすることがあります。そんな場所でてんかん発作が起こったり、浅いところでも発作が起きて鼻と口が水に浸かってしまったら溺れてしまいます。飼い主さんもリラックスモードやお酒が入ってしまうと気が緩んでワンちゃんから目...