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てんかんによる発作治療開始のタイミングについて

  今回はてんかんによる発作の治療タイミングについてお話ししたいと思います。 ワンちゃん、ネコちゃんの発作頻度や程度はまちまちで、毎日の子もいれば半年に 1 回や 1 年に 1 回という子もいますし、頻度は少ないが 1 回の発作が重度、という場合もあります。よくご相談を受けるのは 1 ~ 2 ヶ月に 1 回位発作があるのですが、薬は必要ですか?という内容です。治療の開始時期についてはまず診察を受けて頂き、詳しい問診や動画などを拝見してからの判断とはなりますが、投薬をご提案する際には下記の基準に基づいて判断しています。   1 、てんかん発作の頻度が 6 ヶ月間で 2 回以上起こった場合 2 、群発性発作 ( ※ 1) があった場合 3 、てんかん重積(※ 2 )があった場合 4 、発作が終わっても様子がおかしいなど余韻の継続時間が長い 5 、発作の間隔が短くなってきている 6 、発作の重症度が増している 7 、頭の中に発作の原因病変がある場合      など   (※ 1 )群発性発作: 24 時間以内に別々の発作が 2 回以上起こる状態。 例:朝に 2 回発作が起こり、とりあえず治ったが、夜になったらまた発作が起こった、のような場合 (※ 2 )重積発作:発作は 1 回の発作が 5 分以上続いていた、または最初の発作が治る前に次の発作が起こり、それが継続した場合   以上の内容にあてはまるようでしたら治療開始のタイミングかもしれません。    当院の神経科ではカウンセリング(飼い主様のみご来院のご相談)も承っております。 気になることがありましたらお気軽にご相談下さい。   たまきペットクリニック 神経科担当 獣医師 大内 詠子

てんかんカウンセリング開始のお知らせ

  てんかんカウンセリングの開始のお知らせ     4 月よりてんかんの発作治療に関するカウンセリングを始めます。  てんかんの治療は一生涯発作ゼロを目指したいところですが、残念ながら必ずしもそうはいかないことが多いのが現状です。では、どこを目指したら良いのでしょうか? これはかなり個人差がありますが、発作は回数が少なければ少ないほど、時間が短ければ短い ほど、大きさが小さければ小さいほど脳に対するダメージが少ないです。 動物に使用する発作止め薬は人間に比べ種類が少ないですが、使い方によって発作ゼロは難しくても脳や身体に対するダメージを今より少なくする状態を目指せる可能性はあります。 カウンセリングでは飼い主様のお話や今までの経緯をお伺いし、治療についてお困りなことや疑問点、ご提案などについてお話しできればと考えています。   <対象> ( ワンちゃん・ネコちゃんのみ ) ・てんかん発作を持っているが、治療をすべきかどうか悩んでいる飼い主様 ・現在、てんかん発作の治療を行っているが、発作の頻度が変わらない、発作のコントロール ができているのか?というお悩みを持たれている飼い主様   <詳細> ・カウンセリング日:毎月第 1 、 3 水曜日(完全予約制) ・費用(カウンセリングのみ): 2,000 円( 60 分まで)(別途消費税) ・飼い主様のみご来院下さい(診察をご希望の場合は、動物をお連れ下さい)  (※診察の場合は別途費用がかかります) ・今までに行った血液検査や画像(MRIなど)検査結果、動画、服用している(していた)お薬が ありましたら必ずご持参下さい。 (※カウンセリングのみの場合、お薬の処方はありません) カウンセリング(飼い主様のみ)のご予約はお電話でのみ承っております。 診察(動物同伴)につきましてはお電話だけでなく、ネット予約も可能です。  TEL:047-321-6736    たまきペットクリニック 神経科担当  獣医師 大内 詠子

3月26日は動物のてんかんの啓発を行う日、「アニマルパープルデーです」

  毎年 3 月 26 日は動物のてんかんの啓発を行う日、「アニマルパープルデー」です。 皆さん、ご存知でしたか?  今年も3月30日(日)に会場参加、 WEB ライブ視聴において動物のてんかんに関する講演やてんかんに精通した獣医師の先生方をパネリストにお迎えし、皆さんのご質問にお答えする 特別講座が開催されます。(参加費無料、事前申込必要) ワンちゃんや ネコちゃんを始めとする動物にも人間と同じように「てんかん」という病気があります。 当院の神経科にもてんかんを持つワンちゃん、ネコちゃんが来院されますが、決して珍しい病気ではないと感じています。大事な家族であるワンちゃん、ネコちゃんと暮らすためにてんかんの正しい知識を身につけておくこ とはとても大事なことです。   てんかんを持つワンちゃん、ネコちゃんの飼い主さんはもちろん、そうでない飼い主さん方にも動物にてんかんが あるということを広く知って頂ける良い機会です。 是非、ご参加をお勧めいたします!詳細は下記をご覧ください。 https://animal-purpleday.com/ たまきペットクリニック 神経科担当 獣医師 大内 詠子

初めて神経病に関わったお話

   今回は初めて神経病に関わった時のお話をしてみたいと思います。  獣医学科 2 年生の一般教養と専門科目を勉強していた時期です。 母はかわいそうな犬や猫を見ると放っておけない性格で、帰宅すると母によって保護された犬、猫、ウサギ、カエル、カメ、チャボなどがいることがよくありました。  ある日の夕方、帰宅すると 15 ㎏位のおじいさん犬が庭にいました。近所を放浪しており、動物保護センターに連れていかれてはかわいそうだからと保護したとのことでした。首輪をつけていたので飼い主を探してみましたが見つかることはなく、「太郎」という名前をつけて一緒に暮らすことになりました。しばらくすると、てんかん発作を頻繁に起こすようになりました。初めて見る壮絶な症状でしたので本当に驚きました。 当時、大した知識はありませんでしたが、脳の病気らしいことは想像がついたので放射線学教室の先生に CT 撮影をして頂いたところ、大きな脳腫瘍が見つかりました。 MRI を持っている施設も少なく、脳の手術をする先生もほとんどいない、薬による対症療法しかない、発作を抑える薬も限られている、脳腫瘍に効果のある薬はほとんどない、そんな時代だったので治療には限界がありました。 3 か月ほどで亡くなってしまいましたが、投薬や注射による発作のコントロールを学生時代に経験しました。 その翌年、 CT 検査、診断や相談にのって頂いた神経病専門医の下につき、神経病学と画像診断学を学ぶことになります。 現在の状況と比べてみると、 MRI の普及によって今まで診断できなかった脳の病気が診断できるようになり、治療可能なことも増えてきました。大学や大きな施設の病院では脳の手術や放射線治療も行っています。抗てんかん薬の種類も増えたことで発作のコントロールがしやすくなり、薬の安全性も高まりつつあります。その他、飲んでいる薬が血液中にどれくらい取り込まれているかを測定する検査(血中濃度)ができるようになったことで薬の効果を個別に評価できたり、脳脊髄液の検査によって感染、炎症、腫瘍などを診断することもできます。 神経疾患は難しい病気であることも多いですが、ここ 20 年ほどで診断・治療方法がかなり進歩しています。  当院での対応が難しい場合や精密検査が必要な場合は大学病院など二次施設へのご紹介も行っておりますので、お気軽...

神経科ではどんな診察をするの?

 新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。 2025年最初のお話は「神経科ではどんな診察をするの?」です。 「神経科の診察」というと痛いことや大掛かりな検査をするのでは?と思われるかもしれません。状況によっては全身麻酔を必要とするCTやMRI検査をお勧めすることもありますが、最初はそうならないことがほとんどです。 今回は神経科診察の流れについてお話したいと思います。 1,待合室にて神経科専用の問診票にご記入頂きます。( 別の病院で行われた検査結果や紹介状、画像データなどをお持ちでしたら受付にご提出下さい )                     ↓ 2,ご記入頂いた問診票に基づいて詳しいお話を聞かせて頂きます。 飼い主様のお話はとても重要なため、お時間をかけてお聞きします。 症状を撮影した動画がございましたら見せて下さい。 ↓ 3,問診が終わりましたらワンちゃん、ネコちゃんをお預かりし、身体検査や神経学的検査を行います。必要に応じて画像検査(レントゲン、超音波)や血液検査を行います。 検査はあらかじめ飼い主様にご了解を頂いてから行います。 ↓ 4,問診、触診、検査結果に基づき診断・治療の方法をご説明します。  精密検査が必要な場合、例えばMRI、CT画像検査や電気生理学的検査(筋電図、網膜電位図、筋生検など)のような全身麻酔や特別な機器が必要な場合、ワンちゃん、ネコちゃんの状態が重篤な場合は対応可能な二次診療施設をご紹介させて頂きます。    神経科の診察において鎮静剤を使うことは基本ありません。どうしても必要な場合は飼い主様とご相談してからとなりますが、今まで使用したことはありません。また、神経科だから特別痛いことをする、ということもありません。ただ、反射や反応を見るために膝を軽く刺激したり口の周りや背中、足裏の皮膚をつまんだりすることはすることはあります。反応を見るだけなので皮膚が赤くなったり出血するようなことはありません。ちょっと痛いことや嫌がることがあるとすれば血液検査やレントゲン、超音波検査でしょうか。血液検査をする時には注射針を使うため、ちょっとチクっとします。レントゲンやエコー検査の時は一定の時間じっとしてもらわなくてはなりません。よって、その時はスタッフに抑えてもらうことになりま...
  てんかんの分類について(その 2 )   前回はてんかんを「病気の原因」によって分類しましたが、今回は「発作の症状(発作型)」による分類についてお話していきます。 「てんかん発作」は大脳皮質の神経細胞やそのネットワークに対し、何らかの原因で過剰な電気的興奮が発生することによって起こります。 てんかんを「発作の症状」という観点で分類すると「焦点発作」と「全般発作」に分かれます。   1. 焦点発作  脳の局所から起こる発作であり、その発生部位を「発作焦点」と言います 。症状は発作焦点部位が担当している機能に影響を与えます。人では発作中に意識がある、あるいは発作中の記憶がある場合と、それらがない場合がありますが、ワンちゃん、ネコちゃんでは意識や記憶の有無を評価することができません。焦点発作の例としては、一肢を引き上げてしまうもの、同じ姿勢のまま動けなくなってしまうもの(運動性発作)、ヨダレを垂らしたり、瞳孔散大や縮瞳などが起こるもの(自律神経性発作)、何もないのに何かを目で追う、凝視しているなどの異常な行動がみられるもの(行動性発作)があります。なお、行動性発作は獣医学における分類です。人では行動を起こす理由となる異常な感覚(幻聴や幻覚など)を発作時や発作後に本人から聞けますので「感覚性発作」という分類になっています。 その他、始まりは一肢の引き上げだったのに次第に後肢や反対側にも広がり、ついには脳全体に波及していき全般発作へと移行することもあります(焦点発作からの全般発作への進展)。 焦点発作からの全般発作への進展は焦点発作に分類されます。   2. 全般発作 脳の全ての領域で発作が始まるもので、おそらく皆さんがよく知っている発作は、けいれん性全般発作の中の「強直間代性発作」という最初に全身の筋肉が突っ張るような症状(強直性けいれん)から始まり、その後手足をバタバタするような動き(間代性けいれん)が起こり、数分以内に終わるものではないかと思います。その他に、「強直性発作」(強直性のみ)、「間代性発作(間代性のみ)」、体の一部、または全身の筋肉がビクンとする「ミオクロニー発作」が含まれます。また、けいれんを伴わない「非けいれん性全般発作」もあり、その中には一瞬だけ動作が止まる「欠伸...

てんかんの分類について(その1)

 一見少ないように思える「てんかん発作」ですが、意外と多い病気です。 今回は「てんかん発作」についてちょっと詳しくお話していきたいと思います。 てんかんを「病気の原因」によるもので分類すると「特発性てんかん」、「構造性てんかん」に分かれます。   1. 特発性てんかん   脳に腫瘍、炎症、水頭症、脳血管障害などの病変がないため、脳の画像診断検査( MRI 、 CT 、レントゲン)をしても異常は認められません。特発性てんかんは、さらに遺伝性、おそらく遺伝性、原因不明の 3 つに分けられます。初めての発作が起こった年齢が 1 歳から 5 歳位までのことが多いです。   2. 構造性てんかん 脳に発作の原因となる腫瘍、炎症、水頭症、脳血管障害などの病変が認められるときに発作が繰り返し起こります。こちらは MRI などの画像検査でわかります。発症年齢は脳腫瘍であれば 7 歳以上、水頭症であれば 1 歳未満で起こることが多いです。  次に、治療についてお話しします。画像診断検査などで脳炎や脳腫瘍などの活動性病変が見つかった場合(構造性てんかん)はてんかん発作のコントロールだけでなく、その病気に対する治療もする必要があります。病気が進行性の場合はてんかん発作のコントロールが難しくなることも多く、発作止め薬の増量や別のお薬を追加する必要が出てきます。また、特発性てんかんの場合は発作をコントロールすることだけに専念できます。 よって両者の鑑別は治療方針が立てやすくなることや今後起こりうる症状の予測ができるため、とても重要です。ただ、ワンちゃん、ネコちゃんが M R I や C T 検査などをする場合、全身麻酔をかけなければならないことや検査費用が高額であるため、検査をためらわれる飼い主さんも少なくありません。また、高齢であったり心臓や腎臓などに持病を持っているワンちゃん、ネコちゃんでは全身麻酔をかけることが難しい場合があります。その場合は初めて発作が起こった年齢やてんかん発作以外の症状(運動異常、旋回運動、行動異常など)の有無、神経学的検査で異常がないかどうかを確認し、特発性てんかんが疑わしい場合は飼い主さんとご相談の上、特発性てんかんと仮診断し、治療を始める場合もあります。また、脳内に病変の存在が強く疑われる場合は脳の...